僕の好きな手作り料理
大﨑 泰玖
岩手大学教育学部附属中学校2年
僕は外食が好きではありません。
正確に言うと、僕は家で食べるごはんが大好きなのです。外食もおいしいと思うけれど、お母さんやおばあちゃんの作る料理を食べるのが僕は好きです。
家のごはんは作っている過程を音やにおいで感じるのがまず楽しくて、何を作っているのかな、どんな味かなと見ていてワクワクします。
お母さんは料理本やインターネットで検索したレシピを分量ピッタリに計って作ります。そのため、基本的にいつもおいしいです。ただし、仕上がりの味に不満があると、
「このレシピの人の家庭と我が家は味の好みが違った。」
と言ってがっかりな顔をして食卓に作った料理を出してきます。自分で最後、味見をして調整してみるということもしない、レシピ通りにしか作らない、それがお母さんです。舌の合う料理研究家のレシピの中から献立を決めるのがお母さんの安定のごはんです。
僕の大好きなおばあちゃんは、岩手県から四百五十キロメートルも離れた栃木県に住んでいます。春休み、夏休み、冬休み等の長期休みにしか会いに行くことが出来ないのですが、会いに行くとリクエストを聞いてくれて滞在中毎日料理を作ってくれます。
おばあちゃんはお母さんと違ってまったくレシピというものを見ません。調味料も目分量や感覚で入れていて、大さじ小さじなど使わずにその辺にあったスプーンを使ったり、計量カップも使わずに料理しています。また、その日に冷蔵庫にあるものを入れてみたり、味も定番ではなく変えてみたりとアレンジもします。感覚で料理するようにササッと作る料理は毎回とてもおいしくてびっくりします。どの料理もおいしくて、僕はごはんが楽しみでおばあちゃんちに帰っています。
料理上手なおばあちゃんのレシピをお母さんは教わりたいけれど、きちんとした分量のレシピがないのでお母さんが、
「今の醤油、どのくらい入れた。」
と聞くと、
「ぐるっとフライパン一周ぐらいかな。」
とおばあちゃんが答え、お母さんが、
「一周はどのくらいの円。量はどのくらい出しながらの一周。」
といろいろ聞いていてその会話に僕はクスッと笑います。
そんなおいしいごはんをみんなで食べる時間が僕は大好きです。それぞれの時間を過ごしていた家族がごはんの時間になるとみんなで集まり、「おいしいね」と笑顔を見せながら会話をする、とても大切な時間だと僕は思っています。ごはんの時間はケンカもリセットされる力があるようで、どんなにケンカしていた弟と妹でも隣どうしで座って笑顔がみられます。普段無口なおじいちゃんも、ごはんのときは会話が弾みます。
栃木に帰った時の恒例でおばあちゃんの料理のベスト発表を一人ずつします。ベスト10を発表するという時間があります。ベスト1については、
「お腹を壊すまで食べてみたい。」
と口をそろえて笑って話します。栃木に帰るたびにベスト10を理由と共に発表し、前回からの順位の入れ替えがあるとさらに盛り上がります。ちなみにみんなのランキング上位にいつもいるのはハンバーグです。
僕が大きくなってきて、友達の兄姉が大学生になり一人暮らしを始めたという話が聞こえてくるようになりました。僕も進学先によっては岩手や栃木から離れることもあるかもしれません。今は当たり前に食べることが出来ているおばあちゃんやお母さんのごはんの一食一食に感謝をし、「おいしかったよ。ありがとう。」とたくさん言ってあげたいです。