農のかたち〜私流〜

あらたな 人生の目標

二戸市で妻の美津穂さんとリンドウ10aを作付する剛さん。妻の両親が生産するリンドウを手伝う中で興味を持ち、サラリーマンとして築いてきた人生から一転、リンドウ農家という新たな道へと大きく舵をとった。妻の実家へ子ども3人と移り住み、義父母のもとでリンドウ栽培を学んで令和6年に新規就農した。リンドウ農家という新たな目標に向かって歩み始めている。

人生の転機

滝沢市で3人の子どもと普通に幸せな生活をしていた剛さんだったが、リンドウを栽培する妻の実家で繁忙期に手伝ったことで転機を迎えた。以前から義父にリンドウの話しを聞かされていたが作業を手伝ったのは3年前からで、実際に触れたのもその時だった。実際に目の当たりにするリンドウは綺麗で、自ら作ったもので喜んでもらえることにもやりがいを感じた。

りんどうを収穫する小野さん

そして、義父からは「自分の頑張り、やる気次第で何とでもなる」と言われていた。「今のまま会社に勤めていると定年があるが農業には定年がない。自分のやる気次第で将来も変えられる」と感じた剛さんは、妻にリンドウを始めたいという胸の内を打ち明けた。

「妻から反対されなかったが、子どもたちは転校することで友だちと離れてしまうという大きな課題があった」と明かし、子どもたちに受け入れてもらうまで約半年の時間をかけた。

りんどうを収穫する小野さん

「時間はかかったが、今では大好きな祖父母と一緒に暮らし、新しい友だちもできて楽しく暮らしている。子どもたちも強くなった」と笑顔で話す。そして、マイホームを売り払い妻の実家である二戸市へ移り住み、リンドウ農家という未来に向かってスタートした。

歩みを始めた農家という生活

令和5年の春から、義父母のもとでリンドウ栽培を学び始めた剛さん。教えられながら実践の繰り返しの日々が続き、一つひとつ覚え作業をこなしていた。一方で、実際に作業をする中で農業の難しさも感じていた。「手伝いとは違い、やる事がたくさんあることに驚いた。天気にも左右され、予定通りにいかないことも多い」と話す。

りんどうを収穫する小野さん

また、リンドウは水田を使って栽培し、5年程度で圃場を変えるため水田の管理も必要になる。大変なこともあったが剛さん夫婦の支えになっていたのは、経験豊富な義父母と先輩農家、JAの担当者だった。「皆さんに良くしてもらい、分からないことは教えてもらえる環境がある」と話し、生半可な気持ちではできないという信念を持っていた剛さんの中には、確かな自信へと変わっていった。令和6年には新規就農し10aにリンドウの苗を植えた。

りんどう

生産する環境も整い「やるからには楽しく、しっかり稼げる農家を目指したい」と話し、二戸地域にリンドウを生産する仲間を増やしたいという気持ちももっていた。そして、元気に暮らす子どもたちの学校行事にも全て参加でき、新たな環境にも感謝している。「今は、まだまだ学ぶことが多いが将来は規模を拡大し、リンドウ産地として盛り上げていきたい」と目を輝かせる。歩み始めた1歩先に、家族の新たな未来の形が見えてきている。

プロフィール

小野 剛

小野 剛 おの つよし さん

冬はスキー場で働きながらスノーボードを楽しみたい」と話す剛さん(左)

※広報誌「夢郷」 2024年12月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。