一戸町で露地キュウリ23a、ハウスキュウリ3a、ネギ20aを作付けする雅行さん。スポーツ施設を運営していたが、知り合いの農家でキュウリ栽培の手伝いをしたのをきっかけに農業に興味を持ち、現在は農業と冬季間はスキーのインストラクターとして活動している。将来は農業1本での経営を模索しながら、農業と向き合っている。
25歳から冬は群馬県や長野県でスキーのインストラクターとして活動し、雫石町のスポーツ施設を運営していた雅行さん。農家の生まれではなく、農業の経験はなかった。盛岡市でキュウリをやっている知り合いを手伝ったのが農業との出会いだった。「将来、いつまでインストラクターができるのか考えたことはあった。農業の良さは、失敗も成功も自分に返ってくるところ。そして、歳をとってもできると感じた」と当時を話す。
このことがきっかけで農業の世界に飛び込み、平成30年から2年間、その知り合いの元でキュウリ栽培を学んだ。その後、長野県で同じくスキーのインストラクターをしている兄に農業を教えるため、1年間長野県で過ごした。
岩手に戻り、妻の実家である一戸町での就農を目指し動き始めた。早い段階で圃場も見つかり一戸町に移り住み、冬季間はスキーのインストラクターとして活動しながら令和3年から本格的に農業を始めた。
露地キュウリを中心とした経営で、本格的に農業を始めた雅行さん。圃場は借りられたものの、機械や設備は一度に揃えることはできなかった。1年目は防除機、2年目にハウス、3年目にネギの皮むき機を導入してきた。「ゼロからのスタートで、資金面で苦労した」と話す。一方「畑を耕すのにトラクターが必要だったが、近所の方にお願いできた。困った時に助けてもらったり教えてもらったりと、農業を始めるのには恵まれた地域だった」と笑顔で話す。
収益性の高いキュウリを栽培しているが、一人という労働力を最大限にするため、畑の中でも定植時期をずらし収穫のピークを分散している。また、ハウスキュウリは、以前は苗の植え替えをしていたが、現在は1つの苗で6月中旬から11月上旬まで収穫している。「現在は一人の労力なので、作業がなるべく分散するように工夫している。ハウスキュウリも1本の苗から収穫できれば、苗代分のコストも削減できる」と話す。決して広くはない現在の畑で、収益性を意識した農業経営に取り組んでいる。
将来的に、人を雇用し法人化を考えている雅行さんは、現在のキュウリとネギ以外の冬に収益を得られる品目も模索している。「今はインストラクターも続けているが、冬から春に収益が得られる品目があれば年間雇用が可能になるので農業に専念することができる」と話す。
今は、ネギの栽培技術についても磨きをかけていき、販売だけではなく、かかる費用とのバランスを意識し、将来の姿を見据えながら農業と向き合っている。
「農作業が始まる前の春と、終わる秋に行く家族旅行を楽しみにしている」と笑顔で話す雅行さん。
※広報誌「夢郷」 2024年6月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。