農のかたち〜私流〜

ピーマン栽培で地域に貢献

令和4年に会社化した田中株式会社は、現在35人の従業員らと九戸村と二戸市で露地ピーマン12.6‌ha、ミニトマト35aを作付けする。地域の耕作放棄地を使い露地ピーマンの作付けの拡大を進め、令和6年は新たに7‌haに作付けを予定している。代表取締役の田中国棟さんは、使われていない土地を使い農業を展開し、雇用の創出や施設・地域資源を有効活用することで社会貢献を念頭に経営を進めている。

ピーマン栽培との出会い

 飲食店に勤め農業とは縁がなかった田中さんだったが、親戚のピーマン栽培を手伝ったことが就農へのきっかけとなっていた。田中さんは「自然環境が良く、この地域が好きになった。ピーマン栽培は、小さな種から育てて実を付けていく生命のすごさを感じた」と話す。このピーマンを多くの人に届けていきたいという気持ちが強くなり、平成30年に就農した。

箱詰めしている様子

地域の資源を生かす

会社設立当時は約20人の従業員で、露地ピーマン5‌haを作付けした。機械で薬剤散布をするため畝の間隔を広くすることで作業効率を高めた栽培をしている。また「安全が一番」と口にする田中さんだが、抗菌作用のあるハサミを使うなどで作業の効率化を図りながらも、食品としての安全性への意識も忘れていない。JAの担当者に聞いたりアプリを使って農薬を調べ、使わなくてよいものは極力使わないようにしている。

作業中の様子

今後の規模拡大に向け令和5年には選果機も導入した。「1人ではできない」という気持ちが、従業員の働きやすい環境づくりにつながっている。危険な場所にはヘルメットを用意するなど、細かい配慮も忘れていない。

令和5年には、借りた圃場にミニトマト栽培に必要な機械とハウスがあったので、養液栽培システム「うぃずOne」を導入しミニトマトの栽培も始めた。隔離栽培のため、ピーマンの育苗をした後にミニトマト栽培をしている。

作業中の様子

「地域の資源を活用し、地域を潤していきたい」と話す田中さんだが、小さな気付きを大切にし、地域に貢献したいという気持ちが伝わってくる。そして、自分で育てたものを食べてもらいたいという気持ちが、会社になっても根幹にあるようだ。

作業中の様子

プロフィール

田中 国棟

田中 国棟 たなか くにむね さん

料理人だった田中さんは食べるのも好きで「麺が好きなので、食べ歩きをしたい」と笑顔で話す。

※広報誌「夢郷」 2023年12月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。