がんばれ、担い手!

品質の良いシイタケ栽培を

シイタケ農家との出会い

雫石町で妻と2人で菌床シイタケ(8000菌床)とナメコ、キクラゲなど菌茸類を生産する潤さん。農業の経験はなかったが、脱サラして農業の世界に飛び込み6年になる。

盛岡市で生まれ、父が転勤族で県内を転々とし農業とは縁遠い環境だった潤さん。高校3年生の時に、雫石にあった祖父の自宅を立て直し家族で移り住んでいた。「生まれてから農業に接することはなかったので、関心もなかった」と当時を話す。

シイタケ栽培をする潤さんの様子写真

学校を卒業し働いていたが、地元の燃料会社の専務に声を掛けてもらい転職し、灯油などの配送を担当していた。ふとしたきっかけで、新たにシイタケ農家から灯油の配送を頼まれたことが、今後の人生の転機を迎えるきっかけとなった。

初めて感じるワクワク感

頼まれたシイタケ農家に灯油を定期的に配送していた潤さん。農業経験はなかったが、ハウスの中で作られるシイタケに興味を持ち始めていた。「農業はハードルが高いイメージがあった。畑や農業機械も必要で、土づくりも大切だということは分かっていた。しかし、菌床シイタケは少ない土地ででき、自然環境の影響を受けづらいので可能性を感じた」とその時の胸のうちを話す。潤さんの中でシイタケは興味から関心に変わっていき、配送に行った時にはシイタケ栽培についても話しを聞くようになっていた。

気持ちは時間と共に高まり、平成29年の2月にシイタケ栽培を始めたいと、その農家に打ち明けた。同年6月には会社を退職し7月からシイタケ栽培を始めることとなった。師匠と慕い、就農するまでは休日を使って菌床ブロック作りを手伝ったり、栽培についても学んでいった。

「シイタケ栽培を始めるにあたり、使っていないハウスを貸していただくことになりました。栽培に必要な菌床ブロックなども作ってもらい、師匠のおかげで始めることができた」と、感謝の気持ちを話す。

シイタケ栽培をする潤さんの様子写真

しかし、「就農1年目は分からないことだらけでした」と苦笑いする。やりながら覚えているため、初めはシイタケが採れるタイミングが分からず取り遅れてしまったこともあった。また、ハウスは借りることができたが水源がなく、井戸を掘ったり菌床ブロックを並べるパイプを準備したりと、右も左も分からず走り抜けてきた。「大変なことが多かったけど、心の中では『ワクワク感』の方が大きかった」と話す。2年目からは課題を修正し収量も上がり、JAへの出荷も始まった。

質の良いシイタケを

「菌床シイタケの先駆けの産地に恥じないようなシイタケを作っていきたい」と話す潤さん。毎年、課題を洗い出し解決することを繰り返し、品質と収益性の向上を目指している。自分のハウスに合う品種選びや、A品率を上げるための芽かきも疎かにしていない。「今まで食べられなかった子が、自分が育てたシイタケは食べられようになったとか、おいしいと言われるとうれしい」と、菌床シイタケ栽培のやりがいを語る。

菌床シイタケの写真

今後は「複数の菌茸を生産しているので、将来は詰め合せで贈答品として使ってもらえるような品質のものを作っていきたい」と話し、先輩農家が築いてきた産地を未来に繋ぐためのこだわりが感じられる。

プロフィール

佐々木 潤

佐々木 潤 ささき  じゅん さん

野球やスノーボードなどスポーツ好きな潤さん。「今は、子ども達と一緒に行くスキーや釣りが楽しみ」と話す。

※広報誌「夢郷」 2023年2月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。