がんばれ、担い手!

自ら考え決断していく

働くということ

岩手山と姫神山を望む盛岡市玉山地域で、両親と水稲5haと露地キュウリ10aを作付けする桂一朗さん。祖父の代から続く農地を守るため30歳の秋に就農し4年目の稲刈りの季節を迎えている。

4人兄妹の次男として育った桂一朗さん。子どもの頃は肉牛も飼養していたので、牧草を運ぶなど牛の世話やキュウリの収穫など、遊びながら農作業を手伝っていた。将来就農するかもしれないという気持ちもあった桂一朗さんは、盛岡農業高校へ進学した。高校では畜産関係を学んでいたが、農業をやることに不安も感じていた。「親の姿を見ていて、当時は大変そうなイメージを持っていました。また、様々な農業に触れるうちに自分にできるのか?という不安も感じていました」と当時を話す。

そんな気持ちもあり、高校を卒業した桂一朗さんは歯科技工士の専門学校に進み、資格をとって就職した。「自分で考えて働く農業と、会社からの指示で働くサラリーマンを比べ、その頃はサラリーマンを選んでいました」と話す。

重機を扱い農作業する桂一朗さんの写真

不安からやりがいへ

サラリーマンとして働いていた桂一朗さんだが、30歳を目前に気持ちの変化があった。祖父や両親から農業を継いでほしいという話しはされて育ってきていた。そして「自分が継がないと祖父と両親が繋いできた田畑がなくなるのはもったいないと思うようになりました」と胸の内を話す。そして、30歳の秋の稲刈りの時期に合わせて就農した。

会社に勤めながらも草刈りや田植え、稲刈りなどを手伝っていた桂一朗さん。「農作業が嫌なのではなく『大変そうだ』という漠然としたイメージが強かった。実際に就農して感じたのは、自分で考えてやるので、成功しても失敗しても自分の責任。今は、それがやりがいと感じています」と笑顔で話す。

今年から作業も任せられ自分で段取りをしているが、天候の影響もありキュウリの追肥のタイミングが遅く収穫への影響もあった。「タイミングと決断が必要だった」と反省し、次にどうするかを考えている。これから始まる稲刈りも、刈り取りと乾燥作業があるため刈り始めの見極めに意識を向けている。

自分にできるのかと不安に考えていた桂一朗さんだったが、社会人として過ごす経験を経て、自分で考え動く農業という仕事に魅力を感じ始めている。

重機を扱い農作業する桂一朗さんの写真
桂一朗さんがキュウリ栽培をする様子写真

決断し結果を出す

「今後は、米の作付けは維持しながらキュウリに変わる野菜の栽培に挑戦しようと考えています」と話す桂一朗さん。両親を気遣い、働きやすい品目の導入も検討しているようだ。また、スマート農業にも興味を持ち、作業の効率化にも目を向けている。「娘が2人いるので、農作業が忙しくなる前に家族旅行をしていますが、夏にもどこかに連れていける時間がとれるのが理想ですね」と笑顔で話す。身近な人への思いやりが感じられる。

一方「まずは自分で決めて決断し、結果を出していきたい」と決意を新たにする桂一朗さん。不安に感じていた農業に、今はやりがいを感じ将来を見据えて進んでいるようだ。

米の作付けの様子を見る桂一朗さんの写真

プロフィール

太田 桂一朗

太田 桂一朗 おおた けいいちろう さん

昼の時間を使って釣りを始めた桂一朗さん。「時間を作って娘たちをディズニーランドに連れていきたい」と笑顔で話す。

※広報誌「夢郷」 2022年10月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。