がんばれ、担い手!

プライドを持って売れるように

地元愛

岩手県の県北に位置する二戸市で、両親、妻と穀類を生産する剛司さん。現在は水稲6.2ha、雑穀3ha、大豆1.4ha、ソバ6.4haを作付けしている。

二戸市の足沢地区で、代々続く農家の3人兄妹の末っ子として生まれ育った剛司さん。子どもの頃は、その当時にいた牛の世話をしたり、両親の手伝いをしていた。しかし、将来、自分が農業をしていくという事は考えていなかった。高校卒業後は、関東の工業系の大学に進学し、東京で就職した。

しかし、生まれ育った地元が好きだった剛司さんの心の中には、いつかは地元に戻ろうという気持ちがあった。

そんな中、母がけがをして父だけでは作業が間に合わなくなり、26歳の時に実家に戻り、両親を手伝いながら農業を始めた。「ちょっと早いかとは思ったが、いつかは地元に戻ろうと考えていたので決心した」と当時を話す。

上野剛司さん

農業の奥の深さ

決意をもとに実家に戻り農業を始めた剛司さん。しかし、専門的に農業を学んだこともなく、子どもの頃の手伝い程度だったため、何をすればよいのか分からなかった。「当時は、いつやるべき作業なのか、何のためにやる作業なのか分からなかった」と話す。

翌年、剛司さんは岩手県立農業大学校の農業研修センターの研修に通い、農業の基礎を学びながら農作業を覚えていった。

3年目には剛司さんが主体となり作業をするようになり「自分でやっていくという意識が強くなった」と話す。一方で、栽培技術が確立している水稲に比べ、栽培において手作業に頼る部分が多い雑穀などの畑作の難しさを感じていた。「同じことをすれば同じくできる工業的なものと違い、同じ事をやっても毎年同じ結果にはならない。そのために毎年新しい取り組みにも挑戦している」と話す。「やればやるほど奥が深く難しいと感じる反面、そこが農業のおもしろさでもある」と笑顔を見せる剛司さん。

また、二戸地域の銀河のしずく栽培研究会の会員として、令和2年度から岩手県オリジナル水稲品種「銀河のしずく」の作付けを始め、「銀河のしずく」頂上コンテストでの入賞も果たした。「銀河のしずくは食味ランキングで特Aも獲得している品種。コンテストでの入賞は、二戸地域でも全国に誇れるおいしいお米が作れるという証。米産地としての良いイメージを広げていきたい」と意気込みを語る。

上野剛司さん

プライドを持って

「この地域が好きで戻って来たので、責任を持って地域の農産物を作り、自信を持って売れるようにしていきたい」と話す剛司さん。

昨年は岩手県版GAPの団体での確認登録を受け「当たり前のことを当たり前にやる仕組みを作ることで、誰がやっても同じ作業ができ、様々なリスク回避にもつながる」と話し、出荷先の事も考えた最高品質のものを目指し、生産者レベルで出来ることにも積極的に取り組んでいる。

そして、地域には同じ農業の仲間もいるので、品目は違うが刺激を受けている剛司さん。「まずは、自分の作物をしっかり作り、新しい事にも恐れずに挑戦していきたい。そして、農業という分野から二戸地域を盛り上げていきたい」と目を輝かせる。

上野剛司さん

プロフィール

上野 剛司

上野 剛司 うわの つよし さん

釣り好きな剛司さん。特に海釣りが好きで、釣った魚は捌いて家族に振る舞っています。

※広報誌「夢郷」 2021年12月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。