がんばれ、担い手!

産地を盛り上げていきたい

ホウレンソウ農家の長男として

岩手県北部の太平洋岸に位置し、白樺美林の岩手県立自然公園の平庭高原や山形村短角牛の生産が盛んな久慈市山形町で、両親とホウレンソウ50a(ハウス41棟)、菌床シイタケ1棟(6,000玉)、水田80aを作付けする友太さん。

ホウレンソウ農家の3人兄弟の長男として育った友太さんは、いつかは家を継ぐだろうと漠然と考えていた。

高校卒業後、JAの集荷場で働きながら実家のホウレンソウ栽培を手伝っていたが、平成24年に、小学校の統合でバスの運転手が不足していたため声がかかり、バスの運転手を始めた。「空いた時間にホウレンソウの作業ができるかと考えていたが、思うようにはいかなかった」と話す。

その後、父がハウス施工の仕事を2年前から始め、家を空ける日が多くなった。作業の遅れなどの影響を考え、運転手の仕事を辞め、令和元年から実家のホウレンソウ栽培に専念する事を決めた友太さんだが、もう一つの理由もあった。「地元の4Hクラブで、若い人が頑張っている姿をみて刺激を受け、負けてられないと思ったのも理由の一つですね」と胸の内を話す。

長坂友太さん

自ら考えて動く

ホウレンソウ栽培は一通り経験をしてきた友太さんだが、今までの手伝いの立場から自ら動くことに大変さと面白さを感じていた。

1年目は収穫と調整作業を中心にやってきたが、2年目の今年は、は種、生育管理、薬剤散布や潅水まで、収量に直結する作業をこなしてきた。「ホウレンソウは、気候の変化で収量や品質に影響がでるため、こまめに天気の変化を確認するようになった」と話す。

基本的な作業は、昔からつけてきた作業日誌に基づいて進めながらも、新たな試みにも挑戦している。「今までと違う品種を試しに播いてみましたが、失敗してしまいました」と、苦笑いする。夏場の水管理が上手くいかず、葉にボリュームがなく収量が減ることもあった。

しかし、自分で考えて決めてやっていく面白みを感じている。「仕事の流れは見えてきたので、今は経験と知識を吸収していきたい。そして、しっかり量を取れる経営を目指したい」と話し、反収向上への意欲をみせる。

ほうれんそうの収穫をする長坂さん
ほうれんそうを箱に詰める長坂さん

ホウレンソウ産地を残していきたい

「今は、経験値を積み重ねて現在の規模で、まずは収量を上げていきたい」と話す友太さん。手を掛けることで収量の向上を目指しながら、経験値の積み重ねを意識している。また、肥料散布や病害虫防除などの栽培管理も、今年のデータを整理し来年の栽培管理に生かすことで、リスク回避を考えている。

そして、令和元年に機能性表示食品として消費者庁に認可された寒じめほうれんそうについて「目の健康維持に効果があるとされているルテインを含む寒じめほうれんそうは、産地としての武器になる。食味の良さと機能性について認知度を上げていき、ホウレンソウ産地を盛り上げていきたい」と話す。

また、近い世代の生産者の存在が励みにもなっている友太さんだが「今は父に敵わないが、いつかは超えていきたい」と、負けず嫌いな一面もみせる頼もしい担い手だ。

トラクターに乗る長坂さん

プロフィール

長坂 友太

長坂 友太 ながさか ゆうた さん

絵が得意な友太さんが高校生の時に書いたイラスト。デイサービスで切り絵をやったりもしています。

※広報誌「夢郷」 2020年11月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。