がんばれ、担い手!

一緒に楽しく農業を

異業種から農家へ

西に岩手山を望む八幡平市野駄地区で、水稲10ha(主食用米7ha、飼料用米3ha)、ソバ3ha、ブロッコリー35a、トウモロコシ20aを栽培する光博さんは、平成28年の春に就農し、5年目となる。

高校卒業後は美容師を目指し専門学校に進んだ光博さん。東京で4年間、美容師としての腕を磨き盛岡に戻り、28歳の時には自分の店を持った。順調にも思えるが、光博さんは不安も感じていた。

「若い今はいいが、将来を考えると2~3店舗を経営者としてやっていかないと将来は厳しくなるが、人が集まらず店舗拡大ができなかった」と当時を振り返る。

そんな光博さんが農業に初めて触れたのは、田植え作業だった。大変さの中にも楽しさも感じていた。その後、将来的に規模を縮小する話しを耳にした光博さんは、自分にできないかと父に話しをした。農業に関してはまったくの素人だったが「まず、やってみろ」という言葉で、農業の道を歩むことになった。

無人ヘリを整備中の吉田光博さん
無人ヘリのチェックに余念のない吉田光博さん

外見と内見の違い

元々、体を動かすことが好きだった光博さんだが、就農当初は長年働いてきた美容師との違いを感じた。「朝は早いし肉体労働が多く、以前の仕事とは全く違いましたね。今では筋肉が付き、7㎏ほど体重も増えました」と苦笑いする。また、農業の経験もないため、雑務が多く、辛い日々が続いた。

そんな時、田んぼで仕事をしていた光博さんに、地元の同世代の農家が声をかけてきた。「同世代で、しっかり農業をしている人の存在は大きかったです。農業のことや辛かったことなど、話しを聞いてもらえて助かりました」と笑顔を見せる。また「地域の先輩農家の皆さんにも、トラクターの操作方法を教えてもらうなど、やさしく見守ってもらい感謝しています」と話す。

ひとつひとつ仕事を覚えてきた光博さんは、4年目には経営移譲し、本格的な農業経営が始まった。先を見据えて、1年目の冬には無人ヘリの資格、2年目には大型特殊の免許を取得している。また、1年目から日々の作業記録をつけてきた光博さんは「4年目には作業の流れもだいぶ分かってきた。反面、自分なりに見直すところは見直してやっていきたい」と目を輝かせる。感覚を数値化し、コスト削減や省力化にも取り組んでいる。

「今使っている機械もいずれ更新が必要となる。機械の更新も考慮しながら、経営が成り立つところまでの規模拡大も考えている」と、将来を見据えている。

無人ヘリを積んだ軽トラから降りてきた吉田光博さん
仲間と談笑している吉田光博さん

楽しく農業を

地域の田んぼを将来は継いでいこうと考える光博さんは、水稲の規模拡大の他に、ブロッコリーの拡大も考えている。「収穫が田植え後で現在の作業体系に合っている」と話す。夏場の収入源として経営面でのメリットを見いだそうとしている。

また、「楽しく農業がしたい」と話す光博さんは「一人ではできない事もあるが、地域の若手生産者が力を合わせればできることもある。みんなで力を合わせ一緒に楽しく農業ができれば、地域の農業も盛り上がると思う」と笑顔で話す。

仲間に支えられてきた光博さんは、仲間の輪を広げようとしている。

農薬を散布している吉田光博さんが飛ばす無人ヘリ

プロフィール

吉田 光博

吉田 光博 よしだ みつひろ さん

マラソンが趣味の光博さんは、毎年100kmマラソンに参加し、今までに4回完走しています。

※広報誌「夢郷」 2020年9月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。