岩手県沿岸部に位置する宮古市田老地区で、ブロッコリー60a、トマト10a、スイートコーン10a、レタス20aなどを栽培する友和さん。祖父がやっていた圃場を使い、4年前の春に就農した。
子どもの頃に、祖父がやっている田んぼや畑の手伝いをしていたが、この頃から友和さんは農業に興味を持っていた。「手伝いをすると褒められたので、喜んでやっていました。祖父に、うまく使われていたんでしょうね」と当時を振り返り苦笑いする。
登山が趣味など、外で仕事をするのが好きな友和さんの心の中には、小さい頃から農業という言葉が宿っていた。
学校を卒業する頃は、就農することは考えていなかった友和さん。外で働くことが好きなこともあり地元の森林組合で働いていたが、平成23年の東日本大震災の時に、気持ちに変化が表れた。
「震災の時に、自分が本当にやりたいことやらなければという気持ちになりました。この時、子どもの頃から好きだった農業をやろうと決意した」と当時を話す。
友和さんは就農に向け、農業の先進地である群馬県と長野県の農家で働き、レタス・キャベツ・トマトの栽培技術を学んだ。
「規模の大きさに驚いたが、種まきから収穫まで学ぶことができた」と話す。その後、地元の宮古市の農家で2年間、野菜の栽培技術を学び、平成28年の春に就農した。
以前、祖父が使っていた畑や田んぼの土地はあったが、遊休地の状態だった。ハウスは中古を探してきて建てた。畑やハウスを何とか準備し、ブロッコリー、トマト、スイートコーンを栽培したが、出来は良くなかった。
「誰かが耕作していた畑ではなく、しばらく使っていない畑だったため、土ができていなかった。たい肥を入れるなど、土づくりを意識してきて、やっと畑らしくなってきた。日々勉強ですね」と話す。
畑の土づくりから始めた、まさに「ゼロ」からの農業のスタートとなった。
畑づくりから始まった農業だが、防除のタイミングやトマトの高温対策など、経験が浅い友和さんには課題は多かった。しかし、友和さんには、そんな状況を支える仲間達がいた。「宮古地域には同年代の若い生産者が多いので、相談もしやすいので助かっています。色々な話しができて刺激にもなっています」と笑顔をみせる。
就農5年目を迎えた友和さんの課題は、規模拡大と秋冬期の収入になる品目の導入だ。
「収益を上げるために、遊休農地を借入して栽培面積を拡大するのがひとつ。あと、春のブロッコリー、夏のトマト、その後の収入に繋がる品目を模索している」と、長期収入が可能な農業経営を目指している。
そして、「これからも仲間と切磋琢磨しながら、この地で農業を一緒にやっていきたい。そして、宮古地域でも農業があるんだと多くの人に知ってほしい」と目を輝かせる。地域農業の未来を考える、頼もしい担い手だ。
「学生時代から登山を始めた友和さん。北アルプスの槍ヶ岳に登った経験もある。「チャンスがあれば富士山に挑戦してみたい」と話す。
※広報誌「夢郷」 2020年7月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。