温泉やスキー場が有名な一戸町奥中山。そこで、両親と共に、レタス7ha、ハクサイ40a、促成アスパラガス1.6haを作付けしている知哉さん。実家に就農し今年6年目を迎える。
小さい頃から両親がレタスを生産する姿を身近に見て育ち、畑で遊びながら収穫の手伝いもしていた。「奥中山というレタス産地に生まれ育ち、小さい頃からレタスを身近に感じていた。レタスを出荷するため集荷場に向かうと、トラックが列をつくっているのをよく目にした」と当時を語る。
小学3年生からスキーを始めた知哉さんは、先生に声を掛けてもらったことがきっかけで盛岡農業高等学校へ進み、スキー部に入部した。
「勧められた学校が農業高校だったので、もしかしたら将来のためになるのではと農業活用科を選んだが、当時はスキー部に入るのが目的でした。勉強したことはあまり覚えていません」と苦笑い。実家を継ぐことを強く意識していなかった知哉さんは高校卒業後、農業とは違う仕事に就いた。
地元を離れて働き始めた知哉さんだが、知人の紹介で勤めていた職場に、地元の先輩生産者が足を運んでいた。話しをすると、両親の事も分かっていた。その後、地元JAの施設の仕事を紹介され、実家にもどり働くようになった。
「いつかは実家で農業をするのだろうと心のどこかで考えてはいたので、地元に戻ってきた」と話す。それから2年後、両親が栽培面積を拡大するという話しを聞いて、就農を決意した。
小さい頃から身近だったレタス栽培だが、実際に仕事として始めて感じたのは、分からない事が多いことだった。
「肥料を播いても、どの程度効いているのか実感がなかった。圃場や気象条件によっても違うので、長年の経験で判断する父の偉大さを感じた」と話す知哉さん。反面、長年の経験と勘でしか判断できない事に違和感を感じていた。
経験や勘だけに頼るのではなく、データ化出来ないかと考えていた知哉さんに昨年、JAからGAP取得の話しがあった。必要なものかとは考えていたが、具体的に何をするのかは分からなかった知哉さんだったが、GAPの認証取得に向けて取り組み始めた。
「最初はやることが多く分からなかったが、JAや関係者の協力もあってグローバルGAPの団体認証を昨年11月に取得できた。自分では気付けなかった事を指摘してもらったり、圃場管理をしっかりできるなどメリットも感じている」と話す。
また「GAP取得ではグループの代表として多くの経験ができた。レタス栽培の経験はまだ少ないが、物の動きや管理などをデータベース化し、経営の向上に繋げていきたい」と意気込みを見せる。
また、昨年からJAが開いている、レタスの若手生産者の講習会にも積極的に参加する知哉さんは「現在の作付面積でもしっかり稼げる経営感覚と技術を身に付けていきたい。そして、若い世代で奥中山高原レタスとして産地を盛り上げていきたい」と目を輝かせる。
「小学生からスキーを始めた知哉さん。最近はスノーボードに興味を持ち、ボードを手作りしている。「機会があったらサーフィンもしてみたい」と笑顔で話す。
※広報誌「夢郷」 2020年6月掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。