畑ワサビ生産量日本一の岩手県岩泉町で、畑ワサビの花芽である花ワサビの出荷が最盛期を迎えている。花芽はしょうゆ漬けなどの加工用の他、生食用として京浜市場などへ出荷される。花ワサビの出荷は5月中旬まで続き、昨年を上回る30トンの出荷を見込んでいる。
畑ワサビは春になると花芽が出てくるが、株の生育を阻害するため全て摘み取り、地元では“ふすぺて”(辛味を引き出す調理をして)、春の味覚として味わっている。
岩泉町で畑ワサビを生産する洞口繁喜さん(72)は「花ワサビは春の味覚として親しまれ、料亭でも利用されている。旬の時期に味わってほしい」と話す。
“ふすぺ”は、塩でもみ込んだり、湯通ししたり冷やしたりして花ワサビの細胞を壊し、辛味を引き出す調理法。ワサビ特有の爽快な辛味と、しゃきしゃき食感が楽しめる。
同町の畑ワサビは、約90%を占める山林を活用した重要な1次産業で、1980年代から生産が始まり、現在は生産量日本一の産地へと成長した。畑ワサビは林の中で生育を続け、10月まで茎や根を練りワサビの原料として出荷される。