11月3日は、一般社団法人日本皮革産業連合会が国産ならではの革の魅力や革製品を通したものづくりの大切さを普及するため制定した「いいレザーの日」。岩手県では地元の和牛の革を使った最高品質「いわて短角牛レザー」が人気だ。
「夏山冬里」方式の飼育方法で、春から秋にかけて広大な牧草地で放牧されている「いわて短角牛」は、和牛の一つである日本短角種。ストレスがかからない環境で育つため革の質感がよく脂肪分が少ないので革に上質な張りがある。世界の中でも最高級の品質を誇り、レザーファンからの人気が高く、リピーターも増えている。
岩手県盛岡市の工房「岩手革」では、国産和牛の流通量の1%に満たない「いわて短角牛」の貴重な原皮「いわて短角牛レザー」を使った約30種類の商品を製造販売している。
代表の中村俊行さん(42)は「イタリアンレザーとして世界的に有名なイタリアでは、地中海からの潮風が吹く自然豊かな牧草地でストレスなく健康に牛は育ち、肉はもちろん革も最高品質。同様の環境で育つ『いわて短角牛』も世界に誇れる品質」と話す。いわて短角牛の革は「盛岡さんさ踊り」の太鼓に使われるほど丈夫で品質も高い。
その品質に惚れ込んだ中村さんは、2016年に工房「岩手革」設立しレザーアイテムを作ることで短角牛の新たな魅力を伝えている。
販売する商品は、表面加工をしないことで、いわて短角牛レザー本来の質感を大切にし、一つひとつ丁寧に仕上げ長く愛用できる商品に仕上げている。また、革本来の経年変化を楽しめるのも魅力の一つ。
縫い目が一切ないシームレスを採用した名刺入れや財布、小物やバックなどさまざまなアイテムがあり、地域の染めもの文化を取り入れた「藍染」の長財布も人気が高い。
飲食店も経営する中村さんは、惚れ込んで使っていた豚肉生産者の廃業し、一つのブランドの消失を目の当たりにした経験がある。生産者との交流も深まるなかで「いわて短角牛」の生産も高齢化や後継者不足などの課題も感じていた。
「『いわて短角牛』は脂肪分が少ない赤身肉で肉本来の旨味を味わえる肉として人気も高い。『いわて短角牛レザー』という立ち位置から短角牛の魅力を発信し、地域の宝を守り続けていきたい」と語る。今後は対面販売に注力し、明治時代から続く「いわて短角牛」の歴史や生産者の思いを伝えていく考えだ。
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電話:019-613-5130
岩手革のホームページは こちら から
https://shop.iwategawa.jp