畑ワサビ生産量日本一の岩手県岩泉町で、7月に入り今年度の出荷が本格化している。同町では、2019年から畑ワサビの生産者を目指す地域おこし協力隊の募集を始めた。任期を終えた2人が今年からワサビ農家としてデビューし、現在7人が協力隊として活動し、畑ワサビ栽培を学んでいる。高齢化などによる生産量減少を打開する取り組みが産地で実を結び始めている。
同町の杉山立真さん(31)は、地元である同町に戻ろうと仕事を探していたときに、協力隊の存在を知り、20年から協力隊として畑ワサビの栽培を学んできた。今年4月に就農し、7月上旬から出荷作業が始まった。
杉山さんは「畑ワサビは加工原料用として全量買い取りで価格が決まっているので経営的に計算しやすいのがメリット。協力隊の時は先輩農家で栽培を学んだが、聞いた以上に教えてもらえ感謝している。まずは、50アールの圃場で10トンの出荷を目指していきたい」と話す。
協力隊の活躍と、洗浄や出荷調整作業を簡略した「丸掘り」での出荷を21年に取り入れることで作付けの拡大につながり、JA新いわて宮古地域わさび生産部会の販売額は21年度から2年続けて前年越えの実績となった。23年度は前年の7715万円を上回る1億円の販売を目指している。
宮古営農経済センターの林将希さんは「21年に導入した『丸掘り』での出荷で調整作業が簡略化されることで、規模拡大や新規参入のしやすさにつながっている。今後も関係機関と連携し、産地を盛り上げていきたい」と話す。