雑穀の出荷時期
雑穀の主な産地
主な品種
ヒエ
他の雑穀に比べて、たんぱく質、脂質、食物繊維が豊富。カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛など体に必要なミネラル成分を多く含んでいます。
たんぱく質含有量が9.7%と多く、またアレルゲンになりにくいことから米の代替用食として用いられることも多いです。
アワ
たんぱく質、脂肪が多く、鉄分は白米の6倍含まれており貧血予防食に最適。
たんぱく質の組成も人体になじみやすく、消化を助けるアミラーゼなどの酵素も多く含まれます。
「もちあわ」は、トロリとした強い粘りを生かして「あわ餅」となり卵やミルクのような味わいがあります。
イナキビ(キビ)
ビタミンB群とリン、カリウム、亜鉛、マグネシウムなどが豊富。
「うるちきび」と「もちきび」があり、うるちはご飯やかゆなどに、もちはお餅、おこわ、だんご、酒などに用いられます。
アワ、ヒエよりも粒が大きいため、雑穀としては利用しやすく食物繊維も豊富です。
タカキビ(モロコシ)
米に比べて食物繊維を多く含み、マグネシウムの量が豊富。
大きめの実で硬く赤みのある粒が特徴です。
炊くとおこわや挽肉のような弾力とコクがあり、二戸地方では小豆汁にたかきび粉で作った団子を入れた「へっちょこだんご」が有名です。
アマランサス
雑穀の中ではたんぱく質を多く含んでおり、また、白米に比べてカルシウムを32倍、鉄を12倍、ビタミンEを11倍、食物繊維を15倍多く含みます。
多量のカルシウムは骨粗鬆症予防、鉄は貧血予防、ビタミンEは毛細血管の老化を防ぎ、食物繊維は体内の老廃物質を排除する効果があることから、アマランサスは成人期から高齢期の方が元気に生活するために必要な栄養素を含んでいます。
雑穀の歴史
雑穀がどこで栽培されるようになったかについては、実はよく分かっていません。
キビ・アワ・モロコシ(タカキビ)・ムギ・大豆・小豆などはシルクロードを通って中国に入り、朝鮮半島を経由して日本に入ってきたものが多いようですが、ヒエは日本が原産地と考えられています。
中でも、東北地方北部〜北海道南部のいくつかの縄文時代の遺跡からは、ヒエ・アワ・キビの種子が多量に発見されており、狩猟・採集を生活基盤とする縄文時代においても、約4,800年前にはヒエを食用穀物として栽培していた可能性が高いことが明らかになっています。
昭和62年に行われた軽米町の皀角子久保(さいかちくぼ)Ⅵ遺跡の発掘調査では、東北地方では初めて平安時代(約1,200年〜800年前)の畑跡(畝間跡)が発見され、この土の中にはコメ・ヒエ・アワなどの穀物の種子も含まれていました。
以後、北東北地方は寒冷で水稲栽培に適さなかったことから、昭和30年代まで寒冷地でも確実に収穫をあげられるヒエ・アワ・ソバ・大豆などの自給的畑作農業、特にも焼畑による輪作が中心となっていました。
江戸時代(約400年〜140年前)の記録では、九戸地方では水田より畑の比率が高く、水田でもヒエを栽培する「稗田」が多く含まれています。
ヒエの稈は馬の飼料にもなり、馬の糞は畑の肥やしになります。
この地方では各戸で農業用また販売用として馬を多く飼育していたため、馬産地としても有名になりました。
雑穀を主体とする輪作による畑作農業は、厳しい寒冷なこの土地で先人が生き抜いていくための必然的選択ではありましたが、馬産地を支える循環型農業をも生み出したのです。