久慈市の地域おこし協力隊として山形村短角牛の生産に携わる小野沢りんさん(23)が、精肉店「短角考舎おのざわ」を開業した。精肉加工を学んだ短角考房北風土から暖簾分けし、その一角を借りて営業。7月には用意したヒレ肉が完売。不定期ではあるが当面はSNSを通じて販売し、山形村短角牛の新たなファンづくりに意欲を見せている。
小野沢さんは長野県出身で、農業高校時代に「夏山冬里」の放牧スタイルで生産されている短角牛の存在を知ったのがきっかけで、2022年8月から協力隊として山形村短角牛の生産に携わっている。
一方、精肉加工にも興味を持ち、同市で山形村短角牛の精肉を販売する「短角考房北風土」に弟子入りし、加工技術を学んできた。師匠となる佐々木透さんは「精肉業界も人手は不足しているので貴重だ。やるからには私の上を目指してほしい」と期待を語る。
山形村短角牛は、「夏山冬里」方式の飼養管理で、自然に近い状態で育つ赤身肉。その旨味が特徴で肉本来の味も濃くファンも多い。
小野沢さんは「精肉の加工技術を教えてくれた師匠の佐々木さんには感謝している。生産から精肉加工まで手掛けることで分かる山形村短角牛の魅力を多くの人に伝えていきたい」と笑顔で話す。
25年6月には、自ら導入し飼養している牛を出荷し、精肉として販売も予定している。 今後も生産に携わり、東北唯一の闘牛「平庭闘牛大会」では勢子として活動もしながら、精肉加工の技術も磨きをかけ、山形村短角牛の魅力を発信していく。