農のかたち〜私流〜

作業を分散し 効率良く

宮古市でピーマン20a、キュウリ12aなどの野菜を生産する怜さんは、令和4年に新規就農し今年3年目を迎える。繁忙期は4人のパートを雇用するが、基本は本人の労働力のみで経営するため、過去の失敗などの課題解決に取り組み、今年は新たに露地ピーマンに取り組む。自分の裁量で行動できることが農業の魅力と考え、自分に合った経営の形を模索している。

農業の魅力

山田町の職員として働いていた怜さんは農家の生まれではなく、農業の経験はなかった。農業との出会いは、知人の米農家を手伝った時だった。「作業は大変でしたが、終わった時に感じた達成感が何とも言えなかった」と話す。

きゅうりの栽培をする松舘さん

その後、仕事で農家を訪れることがあり、家族のために頑張っている姿が印象に残っていた。「家族のために、育てた農産物をしっかり出荷して稼ぐというシンプルな構図が胸に響いた。そして、皆さんが工夫して作業していることを知り、自分で考え自分の裁量でやれる農業への興味が湧いてきた」と話す。

農業を知らなかった怜さんが、農業、農家と触れる機会が増えるごとに、興味や関心が高まっていった。そして、農業を始める決断をしたのだった。

栽培されているピーマン

自分で考え行動する

農業を始めるにあたり地元の普及センターに相談し、研修先の農家を紹介された。就農までの2年間という時間は決して長くないと考え、必死に学んでいった。「最初は畑を歩くだけで疲れていました」と苦笑いするが、次第に体も慣れて作業も覚え、任される作業も増えていった。

「研修先の経営は農家さん1人とパートさんでまわしていたので、就農後の自分のスタイルに似ていたので参考になった」と話す。就農に向けて当初はイチゴ栽培も考えていたが、研修先で学んだキュウリを中心にピーマンとの組み合せで令和4年の春に農家としてスタートした。

ピーマンの栽培をしている様子

就農1年目は、キュウリ20aとハウスピーマン2.5aを作付けした。しかし、実際に始まると作業が思ったように進まなかった。研修とは違い、見えなかった作業も多いことに気付いた。「作付面積と作業量のバランスが分からなかった」と当時を話す。しかし、手が回る分だけを作業する決断をし、キュウリは16aに集中した。その結果、手を掛けたキュウリは平均的な単収を確保することができた。

2年目には繁忙期をずらすためにハウスキュウリの栽培を始めた。露地キュウリの繁忙期の前後に収穫するため、作業量を分散することができた。また、3年目の今年は露地ピーマンの作付けを始めた。「ピーマンの作業はパートさんの仕事としても相性が良く雇用もしやすい」と話す。

ピーマンの栽培をしている様子

自分に合った作型を模索し試行錯誤しているが、自分の裁量で判断しながら歩んでいる。課題もあるが、気軽に相談できる農家仲間の存在が、怜さんの心の支えにもなっているようだ。

将来は、規模拡大も考えているが、今は「就農までに多くの関係者にお世話になった。仲間と協力しながら、しっかり稼げる農家になり、地域に恩返ししていきたい」と笑顔をみせる。

プロフィール

松舘 怜

松舘 怜 まつだて りょう さん

「子どもとの時間を大切にし、家族で色々な所に旅行に行きたいですね」と微笑む怜さん。

※広報誌「夢郷」 2024年7月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。