八幡平市の農事組合法人岩手山麓ディリーサポートの15人の全従業員は、最大20日の有給休暇と12日のリフレッシュ休暇を完全取得している。今年度からは新たに誕生日休暇を取り入れる。2010年から働き方改革に取り組むことで若手従業員が定着し、現在は20代以下が約半数の7人が活躍している。
TMR(完全配合飼料)を製造する同組合は、地元の酪農家が出資し05年に設立。当初は人手が足りず季節雇用をしていたが、定着しなかった。当時の少子化による人手不足を予想し、10年から本格的に正社員の募集を始めた。粗飼料の生産は天候に左右される作業だが、他社にない魅力として全従業員の有給休暇の完全取得に取り組んだ。
同組合の佐々木良治センター長は「当時は理解されづらかったが、組合としての強みと考え取り組んできた。現在では、新卒での採用後も定着しているので、若手が多いのが組合の強みにもなっている」と話す。
就職して8年目の瀧渡巧さん(25)は「粗飼料部門なので繁忙期はあるが、趣味のスノーボードや釣りをするため有給休暇を使っている。好きなことでリフレッシュできるので仕事も頑張れる」と話す。
個々のライフスタイルが多様化する中、休みたい時が休みという働き方が定着している。また、従業員同士が休みやすくするため助け合いの気持ちを持つようになり、コミュニケーションもとれ作業効率の向上も見られる。17年からは社会労務士を交え、賃金面や年間休日などの就業規則の見直しも進めている。
現在は牧草地232ヘクタール、デントコーン78ヘクタールを管理し、組合員を含む14戸の酪農家を支えている。