畑ワサビ生産量日本一の岩手県岩泉町で、畑ワサビの花芽である花ワサビの出荷が最盛期を迎えている。花芽はしょうゆ漬けなどの加工用の他、生食用として京浜市場などへ出荷される。花ワサビの出荷は5月中旬まで続き、約20トンの出荷を見込んでいる。
畑ワサビは春になると花芽が出てくるが、株の生育を阻害するため全て摘み取り、地元では“ふすぺて”(辛味を引き出す調理をして)、春の味覚として味わっている。
宮古営農経済センターの林将希さんは「花ワサビは春の味覚として親しまれ、料亭などでも利用されている。旬の時期に味わってみてほしい」と話す。
“ふすぺ”は、塩でもみ込んだり、湯通ししたり冷やしたりして花ワサビの細胞を壊し、辛味を引き出す調理方法。ワサビ特有の爽快な辛味と、しゃきしゃき食感が楽しめる。
同町の畑ワサビは、約90%を占める山林を活用した重要な1次産業で、1980年代から生産が始まり、現在は生産量日本一の産地へと成長。出荷先からの期待も高まっている。
畑ワサビは林の中で生育を続け、6月下旬から10月まで茎や根を練りワサビの原料として出荷される。