JA新いわて宮古営農経済センターは、関係機関と連携し岩泉町の特産品である畑ワサビの生産拡大に取り組んでいる。出荷調整作業にかかる労力を軽減する出荷規格の導入や新規栽培者向けの見学会の開催、岩泉町の8人の地域おこし協力隊が畑ワサビの先輩農家から栽培を学び産地を後押ししている。協力隊の2人が今年の春から新規就農を予定している。
JA宮古地域わさび生産部会の2022年度の出荷量は197トン、販売額は21年度比22.1%増の7714万円の実績となり、2年連続で前年実績を上回っている。
同センターは岩泉町、宮古農業改良普及センター岩泉普及サブセンターなどの関係機関と2月中旬から3月上旬までの6日間、畑ワサビ生産者31戸と戸別営農相談を開く。今年度の戸別の出荷実績や課題などを踏まえ、23年度の出荷計画や目標などを設定した。
協力隊で4月から就農する同町の杉山立真さん(30)は「協力隊として先輩農家から多くのことを学んできた。圃場の確保を進めながら年間10トンの出荷を目指していきたい」と意気込みを話す。
畑ワサビは練りワサビの加工用原料として使われている。全国的に高齢化などにより生産量が減少し、国産原料を求めるワサビ加工業者からの要望に応えきれていない。
同センターの林将希さんは「出荷体系の見直しや関係機関と連携した取り組みで出荷量が増えているが、需要にはまだ追いついていない。一つの節目として1億円の販売を目指していきたい」と話す。
同町の畑ワサビは9割以上占める山林を活用した重要な1次産業で、1980年代から生産が始まり、現在は生産量日本一の産地だ。