盛岡市北部に位置する玉山地域は西に岩手山、東に姫神山を臨む中山間地。努さんは、この自然豊かな地で酪農を営んでいる。現在は両親、妻、弟と搾乳牛38頭、育成牛18頭を飼養している。
石川家の長男として育ち、漠然と家業を継がなければならないと思っていたという努さん。小学校高学年の頃には、牛舎で手伝いをしていた。盛岡農業高等学校を卒業後、特別専攻科(畜産科)に進み2年間学び、家畜人工授精師の資格を取得した。「特別専攻科は週2回の授業だったので、岩手県農業研究センター畜産研究所で搾乳や飼料給与などの仕事もしていました」と話す。
特別専攻科を卒業後、2年間実家の手伝いをしながら、酪農ヘルパーや牛群検定員の仕事をした。「就農する前の1年間、畜産関係の会社に勤めていました。その時、会社の人から、もっと牛について勉強をしろと言われ、牛について勉強しました。就農前に体験したことは、今の自分に活かされています」と、笑顔をみせる。
就農して10年目になる努さんが就農を決意したのは、父親が体調を崩した時。長男である自分がやらなければと思い意志を固めた。また、就農と同時に結婚をした。
現在は主に搾乳や給餌、牛舎や牛の管理の仕事を担当しているが、暖かくなると牧草地やデントコーンなどの圃場作業も始まる。経営内容については父親と話し合っている。
「若い頃は意見が合わず衝突したこともありましたが、結局父のやり方になっていますね。父は全農酪農経営体験発表会の岩手県代表として自らの経営について発表したり、共進会では何度も賞を取ったりと、知識も経験も豊富で偉大な存在ですね」と、父親を尊敬している。
また、「両親は乳質にこだわってきましたが、自分も生産者なので消費者に安全・安心で質の良い牛乳を提供することを意識しています。そのためにも、牛の健康や飼養管理にも気をつけ、乳質を上げていきたい」と目を輝かせる。
現在、両親は60歳を過ぎているので、今後は、機械化による省力化も視野にいれ、所得向上も目指している。
努さんの近くには同年代の酪農家の仲間がいる。牧草など粗飼料の収穫作業を共同で行っている。「年も近いので色々な相談をしたり、お互いに切磋琢磨して仕事をしています。仲間がいることで、自分も頑張ろうと思えますし、酪農をやっていて良かった」と嬉しそうに話す。
努さんは、昨年からJA新いわて青年部玉山支部の支部長を務めている。「青年部の仲間は酪農以外の盟友もいるので作業形態は違いますが、どの話も自分にとっては勉強になります。そして、若い仲間がいるということは、地域を盛り上げていくことができると感じているし、励みにもなります」と、活動の楽しさを語る。始終笑顔で話す努さんの人柄が、いい仲間との出会いにつながっているようだ。
そんな努さんの好きな言葉は「努力する!」。「自分の名前のとおり努力が報われるように頑張りたい」と、笑顔をみせる。
小さい頃から釣りが好きで、冬になると子どもたちを連れて岩洞湖にワカサギを釣りに行きます。学校が休みのときは、息子たちが餌やりなど手伝ってくれてうれしく思っています。
※広報誌「夢郷」 2020年4月号掲載時の情報です。掲載情報が変更となっている場合がございます。