岩手町のキャベツ畑で活躍する現役のレーサーがいる。市販車をベースにしたマシンで長時間走破する、スーパー耐久ST-5(排気量1500㏄以下)クラスに出場している盛岡市の佐藤朱伊さん(25)は、2021年7月から同町の田中輝彦さん(45)の下で働き、栽培しているブランドキャベツ「いわて春みどり」のおいしさに魅力を感じた。新型コロナウイルスの影響で出場できていないレース再開に向けて準備を進めながら、キャベツ畑で農作業に汗を流している。
佐藤さんは、新型コロナウイルスの影響でレースの延期や中止が続き、東京から地元の盛岡市に戻ってきた。レースの無いこの機会に、今までやったことのない事に挑戦しようと、体を動かせる農業の仕事を探し、田中さんの下でキャベツ生産の仕事を始めた。
「働き始めた頃は収穫の忙しい時期だったが、農業はやってみればおもしろいと感じた。何より、作っているキャベツ『いわて春みどり』のおいしさに驚いた。自然の中で仕事ができることもあり、農業が好きになった」と話す。
「いわて春みどり」に惚れ込んだ佐藤さんは週4、5日は農業の仕事をし、他の日はレーサーとしての活動も続け、2020年12月以来のレース出場に向けての準備も進めている。
田中さんは「自分たちが作るキャベツに惚れ込んで来てもらっている事がうれしい」と笑顔で話す。
農業を始めて1年が過ぎ、キャベツ作りを一通り経験した佐藤さんは農業に魅力を感じている。「レーサーは続けていくが、時間がある時にはこの畑に来たい。そして、“農業系レーサー”を目指して、農業の正しいイメージや『いわて春みどり』の魅力を発信していきたい」と目を輝かせる。